母乳で育てた5割超え!?厚生労働省しらべ

「母乳で育てた」5割超 生後1・3カ月、厚労省調査によると、2015年の調査結果では、1985年以来初めて、母乳で育てた割合が5割を超えた、ということです。

ところが、少し調べてみると、厚生労働省が母乳育児を推奨する一方で、「母乳育児」はリスクがあると警鐘を鳴らす記事もヒットします。

これは一体どういうことなのか?を調べてみました。

「授乳・離乳の支援ガイド」-厚生労働省

厚生労働省は、平成19年3月に「授乳・離乳の支援ガイド」を公開しております。ここには、こんな記載があります。

授乳については、妊娠中から「母乳で育てたい」と思う割合が 96%に達し、「母乳育児」を実現していくための支援が重要である。

出典:「授乳・離乳の支援ガイド」

また、母乳育児のメリットについては、次のように記載されています。

  1. 乳児に最適な成分組成で少ない代謝負担
  2. 感染症の発症及び重症度の低下
  3. 母子関係の良好な形成
  4. 出産後の母体の回復の促進

出典:「授乳・離乳の支援ガイド」

この「授乳・離乳の支援ガイド」は、WHO/ユニセフの「母乳育児を成功させるための10カ条」を基に作成されているということです。この10カ条は、ユニセフとWHOの共同宣言として1989年に発表されたものです。

「母乳育児を成功させるための10カ条」

  1. 母乳育児についての基本方針を文書にし、関係するすべての保健医療スタッフに周知徹底しましょう
  2. この方針を実践する為に必要な技能を、すべての関係する保健医療スタッフにトレーニングしましょう
  3. 妊娠した女性すべてに母乳育児の利点とその方法に関する情報を提供しましょう
  4. 産後30分以内に母乳育児が開始できるよう、母親を援助しましょう
  5. 母親に母乳育児のやり方を教え、母と子が離れることが避けられない場合でも母乳分泌を維持できるような方法を教えましょう
  6. 医学的に必要でない限り、新生児には母乳以外の栄養や水分を与えないようにしましょう
  7. 母親と赤ちゃんが一緒にいられるように、終日、母子同室を実施しましょう
  8. 赤ちゃんが欲しがるときに欲しがるだけの授乳を勧めましょう
  9. 母乳で育てられている赤ちゃんに人工乳首やおしゃぶりを与えないようにしましょう
  10. 母乳育児を支援するグループ作りを後援し、産科施設の退院時に母親に紹介しましょう

出典:母乳育児を成功させるための10カ条

この「母乳育児を成功させるための10カ条」は、発展途上国などで、清潔で安全な飲料水を容易に手に入れることができない場合、つまり赤ちゃんにとって清潔で安全なミルクが作れないケースを想定し、母乳育児を推進しているようです。ミルクはコストもかかりますので、金銭的に厳しい場合もあるでしょうね。

そして、この「母乳育児を成功させるための10カ条」を満足する病院や施設を増やし、母乳育児をスムーズに行う環境を整えることで、赤ちゃんにとって良い環境を整えることを狙いとしているようです。

この10カ条を全て満足している病院は、「赤ちゃんにやさしい病院」に認定されます。

『赤ちゃんにやさしい病院 Baby Friendly Hospital (BFH)』に認定されている全国の医療施設をみると、認定されている病院の数が、圧倒的に少ないことがわかります。つまり、母乳育児をする環境が十分に整っていない、とも読み取れます。

しかし、一方で近年、厚生労働省の推奨もあってか、母乳育児を推奨する病院が多いことをよく耳にします。ということは、母乳育児をするための環境が十分に整っていないにもかかわらず、母乳育児を推奨している病院が多いということになるのでは?との疑問を持ってしまいます。

「母乳が出ない」「うまく飲ませられない」なんて悩みをよく耳にするのは、実は病院や施設側の環境が整っていないからなのかもしれません。

「授乳・離乳の支援ガイド」に対する指摘

低血糖症(栄養不足)や低体温症に対するリスクの説明や安全対策が不十分という指摘があるようです。

これは、「母乳が出ない」「うまく飲ませられない」という場合には、赤ちゃんが栄養不足になり、その結果、低体温症になるリスクがあるということです。実際にこれが原因で亡くなり、訴訟になったケースもあるようです。

ただし、「授乳・離乳の支援ガイド」には、次の記載があります。

母親の感染症や薬の使用、赤ちゃんの状態、母乳の分泌状態等により母乳が与えられない場合や育児用ミルクを使用する場合がある。そうした場合にも、授乳を通して健やかな母子・親子関係づくりが進むよう、母親の心の状態等に十分に配慮した支援を行う。

出典:授乳・離乳の支援ガイド

そして、「母乳育児を成功させるための10カ条」には、次の記載があります。

医学的に必要でない限り、新生児には母乳以外の栄養や水分を与えないようにしましょう

出典:授乳・離乳の支援ガイド

この内容から、母乳育児を推奨している病院や施設を利用する場合は、母乳育児を行うための環境が十分に整っているのか?「赤ちゃんにやさしい病院」に認定されているのか?を確認する必要があるのかもしれません。

まとめ

WHO/ユニセフの「母乳育児を成功させるための10カ条」と厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」では母乳育児が推奨されていて、母乳育児を推奨する病院や施設も多い。しかし、この一方で、これに対するリスクを指摘する声もある。

実際に母乳育児で栄養不足が原因の低体温症になったケースもあるが、「赤ちゃんにやさしい病院」に認定されている病院は比較的少なく、母乳育児の環境が十分に整っていないことが関係している可能性も否定できない。

母乳育児に関しては、様々な論議がされているが、母乳育児が推奨されている現状を踏まえると、病院や施設を利用する際は、その病院に問題がないか確認すべきなのかもしれませんね。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする